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ジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』がすごい ※ネタバレあり

公開日:16.09.13

更新日:19.07.17

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2016年9月17日公開、スタジオジブリの最新作『レッドタートル ある島の物語』

 

『シン・ゴジラ』『君の名は』と話題作つづきの邦画界に、ジブリの新作が登場。

 

 

「世界のアニメは日本アニメの影響を良い意味でも悪い意味でも受けているのに、日本の影響を受けていなくて見事だ!」

 

と、宮崎駿監督に言わしめた本作品の魅力と、隠された秘密に迫る。

 

 

1.大人ジブリ

 

 

『岸辺のふたり』で第73回アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞したマイケル・デュドク・ドゥ・ビット氏が監督を務め、ジブリが初めて海外との共同製作を行った。

 
“どこから来たのか どこへ行くのか いのちは…?”

 

このキャッチコピーは、「大人ジブリ」とも言える深いテーマを思わせるが、実はこれまでの作品以上に子供も楽しめる秘密が。

 

2.セリフ一切なし

 

 

予告編(下記)を見てもお分かりの通り、全編通し、

 

「音と映像のみ」で展開される。

 

言葉の垣根ある作品ではなく、世界各国、子供から大人まで楽しめる作品となっているのだ。アーティスティック・プロデューサーにはご存知ジブリの巨匠・高畑勲監督を迎え、その片鱗がコンセプトの端々に現れている。

 

 

3.海 と いのち を描く

 

 

2016年の邦画において最も話題作となった

『シン・ゴジラ』、そして『君の名は』

 

両作品の中で、どちらも災害に見舞われる光景が描かれていた事は記憶に新しい。

 

構想10年、製作8年という本作品は、東日本大震災よりも以前から製作されている。

 

 

 

 ※以下ネタバレ注意※

 

本作品では主人公の家族の住む島が津波に襲われ、子供を失い二人が打ちひしがれていると思われる様子を、海外版の予告編で確認する事ができた。東日本大震災から5年半。「海といのち」が本作品においてどのように描かれているのかは、作品の肝と言っても良いのかも知れない。

 

 

4.カンヌで「ある視点」部門特別賞を受賞

 

2016年5月にカンヌ国際映画祭で公開された本作。

公開後はスタンディングオベーションが起こり、「ある視点」部門特別賞を受賞。
映像と音のポエジーに溢れる映画それ自体が特別と評価され、受賞に至った。

 

 

※「ある視点」部門とは、多様な種類のビジョンやスタイルを持つ「独自」の作品を選出するための部門。

その名の通り一風変わった作品が多いことが大きな特徴である。

 

 

5.ことばでなく、いのちを伝える

 

 

 

公式ホームページに寄稿されている一つの詩。

詩人・谷川俊太郎氏の言葉である。

 

 

“水平線を背に何ひとつ持たず
荒れ狂う波に逆らって
生まれたての赤ん坊のように
男が海からあがってくる
どこのなのか ここは
いつなのか いまは
どこから来たのか
どこへ行くのか いのちは?

空と海の永遠に連なる
暦では計れない時
世界は言葉では答えない
もう一つのいのちで答える”

 

 

 

生きることの本質に迫る作品であることが、この詩からも伝わってくる。

 

本作品はアニメである以上に、「いのち」に対する一つのドキュメントと言えるのかも知れない。

 

 

おわりに

スタジオジブリ総選挙で一位に選ばれた『千と千尋の神隠し』。テーマ曲の「生きている不思議 死んでゆく不思議」という歌詞が印象的だった。

 

『レッドタートル ある島の物語』ではどのような「いのち」が描かれているのか。

 

モノや情報に溢れ、いのちの本質を見失いがちな現代だからこそ、ぜひ味わって欲しい静かな名作だ。

 

https://twitter.com/raruhas/status/775175307749752832

 

 

全国東宝系の映画館にて2016年9月17日(土)ロードショー。上映時間:1時間21分

 

(予告編)

 

『レッドタートル』公式ホームページ(スタジオジブリ)

http://red-turtle.jp/